そもそも・・
こうして安曇野に暮らすことになるはじまりは、20年程前に東君平の詩集に出会ったからだと思うのです。
東君平さんの絵本は子どもの頃に読んだことがあったけれど、そこでとまっていて。。
でも、20代になり家の本棚にあった(多分、母の本)「くんぺい魔法ばなし-山のホテル」をなんとなく読んでみたらすごく面白くて・・
物事をただそのまま見るだけではなく、ちょっとユーモアと皮肉と純粋さが混ざり合っていて。ロマンチックな面もあるけれどそれもよいし。
人間でもなんでも一面的にとらえるのはなんだかおかしいなって思っていた時期でもあったし、とても惹き込ました。
かわいいと思ったものでも意外にちょっと毒があったり、暗いように見えてもよくよく話を聞くと面白い人だったり、私はそういうのが好きなのです。正面から見ただけではわからないことっていっぱいある。
大学生時代、自分もそんな風に見られることがあって、悩んだ時期だったというのもあります。私の場合はクールだね=ちょっと冷たい、しらけてる みたいな。いわゆる大学生のノリについていけなかったということかな。今思えば。
そして、小淵沢にくんぺい童話館があることを知り、調べてみると諏訪にはローランサン美術館があったり、安曇野では碌山美術館や絵本美術館など気になるところが点在していたので思い切って信州をゆっくり旅しました。
山梨県〜安曇野まで小さな美術館を巡る旅です。
小さな美術館のほとんどは、交通不便な場所。当時はテクテクと駅から歩いたりバスに乗って行きました。森の奥にこんなに素敵な美術館があるなんてすごい!とびっくりして・・その旅が私の夢のきっかけをくれたのです。
いつか自分でもそんな場所を作ってみたいという。
それから安曇野と小淵沢にはなんども旅行に行きました。結婚してからも、息子が産まれてからも。
そして、良いことも悪い事も色々なことが重なってこうして20年たって安曇野に住むことを夫婦で決めたのだから、人生は不思議です。
どんなに小さな一歩でも、自分で選ぶ道だから自分の生きて行く先は自分の足の下にある・・「青春」ってタイトルだけれど、今でもこの詩が好きです。
そうそう、東君平さんは血は繋がっていないけれど、辻仁成さんの親戚で・・本のあとがきは辻仁成さんが書いています。そのあとがきを読むといつもじーんとします。
若い頃に心から先生と思える大人に出会えることは、とても素晴らしいことだと思う話なのです。